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<<   作成日時 : 2010/06/29 14:37   >>

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先日、実家の物置で探し物をしていたら、
探しているものとは別に、
大学時代のノートやファイルが詰まった箱が出てきた。
中身は今さら役に立たないものばかりなので、
捨てようと思ったけれど、
なんとなくガサゴソと箱の中をさぐったら、
思いがけないものに出会った。

それは、何気なく手に取った
古いマイクロコンピュータの取扱説明書の
裏表紙に残されていた落書きだ。
ひと目見た途端、懐かしい思いが胸にこみ上げてきた。
僕の字とは違う、丸文字の筆跡の落書き。
その頃、大切だったひとが書いたものだ。
鉛筆書きのうえ、
歳月を経た紙は、黄ばんでいるので、
今はもう薄く消えそうになっているけれど、
ぜんぶ読み取れる。
二人でふざけあっている時の
たわいないやりとりの断片が、綴られていた。
文字を追ってゆくと、
彼女が話す声となって聴こえてきた。
「私の名前は○○○○○○○です」
「どうして笑うのですか」
「にくたらしいーー 『エディプスの恋人』読みなさい」
脈絡もなく、よくわからない会話の断片だけれど、
黒い瞳で見つめながら、
少しトーンの高い甘い声で話しかけてくる幻影が、
いつのまにか僕のそばにいた。

人がその手で直接書いた文字や言葉には、
褪せないリアリティがある。
書き手の心情が、文字から溢れ出て、
それがかつての恋人の手によるものならば、
面影や思い出が重なって、
心の奥にしまい込んだ、胸を焦がす思いまでも蘇る。
もう、そこへ戻ることはできない。
だけど、ふと遠い時間への心の旅に出掛けたくなる。
感傷 ー それ自体には、前へ進む力はないけれど、
心を潤し、癒してくれる。
そして、旅先が、大切な過去であればあるほど、
また、大切な過去が多ければ多いほど、
大きくやさしい心を持つことが、
できるようになるのだと思う。
言うまでもないことだけれど、
今を大切に生きることの積み重ねが、
それにつながっていく。

なんだかえらそうなことも書いたが、
ほんとうのところ、
僕は、感傷に溺れてしまって、
彼女は今どこにいてどうしているだろうか、と
思いを馳せてみたり
あの頃行った北野界隈や、海岸沿いのカフェなどの、
煙草の煙のようにゆらゆらと漂いながら風にさらわれていく、とりとめない記憶を追いかけたりしていた。


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